謎の上得意さま、「小日向よしお」氏。
とうとう松原隆一郎會長の著書『経済思想入門』(ちくま学芸文庫)を予約までしてくださることに、會長も丁稚も恐怖がピークに。
會長は、阿佐ヶ谷を自転車でキコキコ走ってても、変な人がついてきてないか立ち止まっては後ろを振り返る日々。丁稚は、松原商會の棚に行っては、死んだゴキブリとかカビが生えたパンとか危険物が仕掛けられてないか確認するようになりました。
でも。
何をするのも度を越してのろい丁稚が、『経済思想入門』の仕入れに何ヶ月のろのろしてても
と、やさしく待っていてくださる小日向さん。
季節が変るくらいお待たせしたのに、やっと仕入れてご連絡すると、
……小日向さん、やさしい 。
変な人じゃない。(変なのはむしろこっち。)
気がつけば、小日向さんが買ってくださるたびに「わー、小日向さんが買ってくださったー!」と、會長も丁稚もキャッキャするように。
PASSAGEがテレビで紹介されるたび、松原商會のツイートを通していつも一緒に観てくださる小日向さん。
PASSAGEと松原商會の成長を見守ってくださる小日向さんは、いつしか會長と丁稚にとって大切な人になりました。
丁稚「會長~、今回も小日向さんが一番に買ってくださいました。」
會長「なんと。うれしいねぇ。くれぐれも丁寧にご対応するのだぞ。」
丁稚「御意」
と、やりとりしていたある日。小日向さんからこんなDMが届きました。
丁稚「會長、小日向さんのお父さまは1960年代後半に東大柔道部に所属しておられたのですね!」
會長は東大の先生だった頃、2007年から12年間、東大柔道部の部長を務めていました。
「七帝戦」は、国立大学7校が戦う年に一度の大会。東大柔道部にとってもっとも大事な試合です。會長と柔道部員の学生さんたちは、この試合に向けて、ともに汗を流して練習し、励まし合い、酒をくみかわし、勝利を喜び、敗退に涙する12年間を過ごしてきたのです。
會長「1960年代後半といえば、東大柔道部が七大戦(七帝戦)で最後に優勝した頃だよ。そうか……。」
會長は思いに耽っていました。
ある日、『経済思想入門』が届きました、と、小日向さんからTwitterを通して連絡が。
そこには、會長と丁稚がのけぞる驚きの写真が付されていました。
(続く)