突然現れた松原商會の上得意様「小日向さん」が松原隆一郎會長の著書『経済思想入門』(ちくま学芸文庫)をお買い上げくださってしばらくたった頃、小日向さんからTwitterを通して一枚の写真が届きました。
おかげさまで、Passageから約700キロでも読書させてもらってます。ありがとうございます。 pic.twitter.com/HagOmRyK6o
— 小日向よしお (@taro323i) 2022年6月5日
PASSAGEから700キロ先?……小日向さんどこにいるの?
写真に目を凝らした丁稚は、あるモノが写ってることに気づきました。
写真の黄色い線で囲んだ部分をご覧ください。
『経済思想入門』がいる! 會長コメントカードも一緒にいる!
どうやら小日向さんが、『経済思想入門』とちっちゃい會長を連れてどこかを旅している様子。小日向さんどこにいるのー?
丁稚はリツイートして小日向さんに聞いてみました。
わぁ!遠方から何度もお店にもいらしてくださってるうえ、今回、松原隆一郎會長の著書『経済思想入門』(ちくま学芸文庫)の入荷をずーっと待っていてオンラインで買ってくださった小日向さん!
— 松原商會 @PASSAGE by ALL REVIEWS (@MATSUBARAandCo) 2022年6月5日
本と一緒に、ここは神戸⁈ https://t.co/3nBeRmpj0A
すると、小日向さんからリプライが。
神戸でして、この場所はテラスになってて読書もしやすかったです。↑の写真ではポートタワー工事中、六甲山もすこし見えてます。 pic.twitter.com/uJNrQq7gBm
— 小日向よしお (@taro323i) 2022年6月5日
ここが神戸なんだ。
丁稚は行ったことがない神戸の港に見入りました。小日向さんと『経済思想入門』とちっちゃい會長と一緒に神戸を旅してる気分。
やがて、小日向さんからあらたな写真が。
神戸東灘から東出町までご同行いただきました。 pic.twitter.com/rruU1feGCU
— 小日向よしお (@taro323i) 2022年6月5日
小日向さんが送ってくださった4枚の写真の1枚1枚に目を凝らします。
順に見ていきましょう。
まず1枚目、左上の写真。黄色の線で囲んだ駅の名前にご注目ください。
小日向さんがいるのは魚崎駅! 會長が生まれ育った神戸の町です。
魚崎については、會長が、會長の祖父、頼介さんの「無名の起業家人生」を、” おじいさん(頼介さん)の製鋼会社を継げと言われて東大工学部に入らされたのに、会社が川崎製鉄に買収されて継ぐ必要がなくなったから、経済学を学び始めて社会経済学者になった孫 ”として書いた『頼介伝』に書かれています。
會長が書いた魚崎の地図はこちら。
そして2枚目、右上の写真。
『経済思想入門』&ちっちゃい會長が、小日向さんと一緒に港を眺めてる。ここがきっと東灘。
そして3枚目、右下の写真。
「東出町にご同行いただきました」と書いてあるから、きっとここ、東出町なんだ……!
東出町は『頼介伝』に登場する、頼介さんがフィリピンから流れ着いた町。不思議がいっぱい詰まった町なのです。(詳しくは、鹿島茂さんと會長が『頼介伝』について語り合った対談 をお読みください。)
写真に写ってる『経済思想入門』とちっちゃい會長がうれしそう。小日向さんに東出町へ連れていってもらったんだね。よかったね~。
そして、4枚目。
横溝正史生誕の地!ここも東出町界隈です!
『頼介伝』に書かれているように、東出町は、神戸で生まれ育った會長も名前すら知らなかった町なのですが、會長の祖父、頼介さんが住み始めた1918(大正7)年頃、『犬神家の一族』『八つ墓村』などで知られる作家・横溝正史もすぐ近くに住んでいたことがわかりました。會長が調べた結果、頼介さんと同じ時期にこの界隈に住んでいたことがわかったのが、以下の人々。
山口組初代・山口春吉
みんな、頼介さんと道ですれ違っていたはず。
そして、丁稚がじんわり感動したのは、ここ東出町こそ松原商會のルーツだからです。東出町こそ、頼介さんが、1922(大正11)年2月1日、「松原商會」を設立した場所なのです。
小日向さんの手の上で、『経済思想入門』も、ちっちゃい會長も、感動で涙目になっています。もちろん丁稚も。
小日向さんからの、『経済思想入門』とちっちゃい會長を連れた「『頼介伝』の旅」の報告を、実物の會長に急いで報告しました。
連絡を受けて、阿佐ヶ谷で興奮している様子の実物會長。すぐさま、會長は小日向さんに呼びかけました。
小日向さん!ありがとうございます。私は東灘区魚崎から東出町へと版元の苦楽堂さんとともに歩いたことがあります。そうしたルートですね。純正神戸お好み焼きの「光」へは行かれたでしょうか? https://t.co/7nBn6FLpDM
— 松原隆一郎 (@ryuimatsu) 2022年6月5日
東出町にある「お好み焼きひかり」さんは昭和20年創業のお好み焼き屋さん。會長が『頼介伝』の取材で知った、このあたりで人気のお店だそうです。
いや、まさかそこまでは小日向さんも……と思ってたら
行ってまいりました!!! pic.twitter.com/wbcySogri3
— 小日向よしお (@taro323i) 2022年6月5日
なんで?!
おおー、「光」の向かいの東絛さんの駄菓子屋さん、健在ですね。このカメラの立ち位置で後ろを振り返ると、ダイエーの中内功の「サカエ薬局の碑」がありますよー! https://t.co/4srSOZx48I
— 松原隆一郎 (@ryuimatsu) 2022年6月5日
こちらも、ご同行いただきました! pic.twitter.com/MbpMUS9o4O
— 小日向よしお (@taro323i) 2022年6月5日
なんかわかんないけど通じ合ってる小日向さんと會長。二人につられて丁稚も感動!
ちょっとご説明しますと、「サカエ薬局」はダイエー創業者・中内功の実家です。今は建物はなく、跡地に碑があるのですね。
ダイエー発祥の地!この東出町は松原隆一郎會長の祖父・頼介さんが起業家として懸命に生きた町。実は多数の著名人が交錯した謎の地で會長が『頼介伝』に書いてます。會長が鉄の実業家になるはずだった町に、社会経済学者になった會長が書いた『経済思想入門』を読者の方が携えて旅して下さるなんて! https://t.co/0947NiIFE9
— 松原商會 @PASSAGE by ALL REVIEWS (@MATSUBARAandCo) 2022年6月5日
やがて、會長は、別の場所に移設された「サカエ薬局」の建物の写真をアップ。
https://t.co/qbz2CdktFE pic.twitter.com/QZ20YWlpQS
— 松原隆一郎 (@ryuimatsu) 2022年6月6日
すると、小日向さんからリプライが。
サカエ薬局移転先でしょうか、お写真ありがとうございます。
— 小日向よしお (@taro323i) 2022年6月6日
3年前、駐車場になってしまったベニスからサカエ薬局跡などを撮りました。暑い時期はベニスの気楽なカキ氷が頭に浮かんでまいります。
双方跡地に立つと狭く感じ、細くとも長い経済活動であってほしかった気がしております😭 pic.twitter.com/CDpEeItpbp
今はなき喫茶店「ベニス」も、會長が『頼介伝』執筆のための取材のときに立ち寄ったお店。小日向さんはどうやら「ベニス」の常連だった様子……。
どういうこと?
阿佐ヶ谷から、會長すぐさまリプライ。
コメントなしで失礼しました。サカエ薬局の原型は、ダイエーが中内さんの思想を教えようと創設した流通科学大学の中に移設しています。そのHPから取りました。現在の姿です。
— 松原隆一郎 (@ryuimatsu) 2022年6月6日
ベニスはいまは駐車場ですか・・。寂しすぎます。凄く雰囲気が良い喫茶店だったので。VでなくBと表記するのも。 https://t.co/b8xlGJ4EIO
小説を片手に作品中に書かれた場所をたどる、ということはありそうですが、まさか経済思想の入門書を片手に、別の著作、それも會長のおじいさんの人生をたどった著作に登場する、おじいさんが大正時代に生きた場所をたどってくださる読者の方が現れるなんて、『経済思想入門』執筆時の會長は想像もしなかったことでしょう。
すっかり感動した會長&丁稚。
會長「小日向さんに何かお礼をしたいなぁ。」
そこで、會長は小日向さんにある申し出をします。
(続く)