書評者と著者と読者の本屋「松原商會」@PASSAGE by ALL REVIEWS のBlog

社会経済学者・松原隆一郎(放送大学教授、東京大学名誉教授)と丁稚が営む、書評と書評された本と読者をつなぐ一棚書店

#23 2023年の松原商會をふりかえる

今日は大晦日松原隆一郎會長が店の様子を見に自転車でキコキコやってくると、丁稚がせっせと棚の本を一冊一冊拭いています。

會長:大掃除がんばってるね。僕の地元、阿佐ヶ谷の「うさぎや」でどら焼き買ってきたよ。一息いれよう。

丁稚:わーい。コーヒー淹れてきます。

會長:お茶じゃなくて?

丁稚:このまえ新宿のベルクで買ってきたコーヒーがおいしいんです。どら焼きと合うと思いますよ。

コポコポ

會長:モグモグ。クピクピ。たしかにどら焼きとあうね。

丁稚:モグモグ。どら焼き、おいちー。

會長、今年もおつかれさまでした。2022年3月に創業した松原商會が2年目に入った今年は、基本的に安定して売れなかったけど、飛躍の年だった気がします。

會長:うむ。松原商會の今年を振り返ってみよう。

まず、丁稚がこのブログを始めたね。

(1回目がこちら)

matsubaraandco.hatenablog.com丁稚:はい。そもそもブログを始めたきっかけは、會長が毎日新聞書評欄「2022年 この3冊」に選んだ本の著者の方々と會長との対談を公開する場にするためでした。

會長:なんでこんなふうに、架空の店舗での僕と丁稚の架空のおしゃべりがいっぱい載ってるの?

丁稚アフィリエイトで収益を得るには30記事くらい必要ってどこかで読んだんです。で、対談を載せる前に、まずとにかく何か30くらい記事を載せようと思って。何も考えずに書いてたらこの設定の記事ができてました。

會長:回数稼ぎだったのね。

丁稚:設定もおしゃべりも架空ですけど、會長の発言は會長が言いそうなことを書いてますよ。會長に事前に確認して修正も入れてもらったうえで公開してますし。

回数稼ぎの記事だけじゃありません。最初は松原商會の自己紹介的な記事を載せてました。あと、だいじなのが、松原商會のお客さまとの交流をこのブログでご紹介できたことです。

會長:「小日向さん」とのご縁だね。

matsubaraandco.hatenablog.com丁稚:はい。最初は「謎の客」だった小日向さんと會長の間に時空を超えたドラマが生まれて感動しました。

會長:うれしい出会いだね。

丁稚:松原商會で販売してきた本のほとんどを小日向さんが買ってくださっています。

會長:ありがたいことです。

『限界ニュータウン』著者・吉川祐介さん、登場

丁稚:そして、いよいよ、會長が毎日新聞で書評した本の著者の方と會長の対談をブログに載せ始めました。『限界ニュータウン』著者、吉川祐介さんとの対談です。

matsubaraandco.hatenablog.co會長:うん。楽しい対談だった。

丁稚:松原商會でお売りする『限界ニュータウン』の付録用に描いていただいたイラストが予想をはるかに上回る人気で、あっという間に完売。追加で仕入れて補充してもすぐ完売でした。「売れない本屋」という松原商會のアイデンティティーが崩壊した数日間でした。

大人気だった吉川さん手描きイラストと書評へのコメント返し

丁稚:このカードは、「書評者と、書評した本の著者と、読者を双方向でつなげる本屋」である松原商會の定番付録「會長の書評への、著者からの手書きコメント返しカード」です。吉川さんももちろん、イラストとともにコメント返しを書いてくださってます。會長の書評のコピーとセットで本にお付けして販売しました。

毎日新聞書評欄に掲載された、會長による『限界ニュータウン』書評

會長:買ってくれた人たちは、僕の書評も読んでくれたのかなぁ。

丁稚:吉川さんが描いてくださったイラストは、かつて吉川さんがマンガ家をめざしていた頃に描いた作品の登場人物なんですよね。この付録の大評判で、作品があらためて注目されたかも。ぜひ新作を描いていただきたいです。

會長:新作といえば、吉川さんの新刊がもうすぐ発売されるね。

丁稚:『限界分譲地 繰り返される野放図な商法と開発秘話』(朝日新書)が1月12日に発売だそうです!


會長:帯を書いている原武史さんとこのまえ放送大学の教授会で隣の席だったんだけど、吉川さんのことを「傑物です」と大絶賛してたよ。

丁稚:吉川さんとの対談記事はまだ途中までしか公開してないので、残りはこの本の発売にあわせて記念公開したいと思ってます。

『東京の創発的アーバニズム』著者 ホルヘ・アルマザンさん、登場!

會長:松原商會の今年の飛躍といえば、松原商會が雑誌デビューしたことだね。

丁稚:はい。対談のお二人目、『東京の創発的アーバニズム』著者・ホルヘ・アルマザンさんとの対談を、雑誌「建築ジャーナル」に3回連載で載せていただく機会に恵まれました。アルマザンさん、建築ジャーナルさん、ありがとうございます!

『東京の創発的アーバニズム』著者のホルヘ・アルマザンさん(左)と、會長。(松原商會の前にて)

1回目(2023年12月号掲載)では、『東京の創発的アーバニズム』とともに、松原商會の活動についてもご紹介させていただきました。

2回目(1月号掲載)では、會長が、阿佐ヶ谷で創業して銀座の有名店になった焼き鳥屋さんを例に、東京の経済的繁栄を担うのは個人が冒険や試行錯誤ができるような賃料の安い「揺籃の場」から生まれるエコシステムだ、と語っています。

1回目掲載の、2023年12月号

2回目掲載の、2024年1月号

會長:焼き鳥屋さんは、名店「バードランド」のことなんだ。

アルマザンさんは、西荻窪のような「創発的アーバニズム」(住民のボトムアップによる都市システム)が街の経済的サステナビリティを生む一方、企業主導の画一的な再開発は街をつまらなくするだけでなく利益にもつながっていない、と語っている。

丁稚:3回目(2月号掲載)では、ハイエク理論と再開発についてのお二人の語らいをご紹介する予定です。

會長:アルマザンさんと松原商會は、あることを相談中なんだよね。

丁稚:はい。楽しみです!

松原商會の2024年

丁稚:「2022年この3冊」のもうお一人、『生きつづける民家』著者・中村琢巳さんとの対談はまだご紹介できていません。棚のラインナップも入れ替えできてなくて。會長の共著の新刊『アントニオ猪木とは何だったのか』(集英社新書)もまだお売りできておらず…。

會長:丁稚のトロさは壮大だね。

丁稚:2024年の展望は年が明けてから話し合いましょう。

みなさま、今年も一年お世話になりました。

松原商會の2024年は新たな活動も計画しております。どうかこれからも松原商會をよろしくお願いいたします。

どうぞよいお年をお迎えください。